2016年5月21日〜22日 神室山一泊山行【前編】

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3月に軍沢岳に登って以来、神室率が高い私である。
この週末、気前のいい晴れマークを見逃す手はない。ということで、
矢留山岳会でメンバーを募って神室山へ避難小屋泊まりで行って来た。
コースは秋田県側の役内口である。できれば西の又の沢コースを登り、
パノラマコースを下山する環状ルートを取りたかったが、
どうやら沢沿いの西の又に吊橋がかかるのは、山開きからとのこと。
沢水の状況もよく分からないので、今回はパノラマコースの往復とした。
9時18分出発。メンバーはF井とS木。
小屋泊まりなので遅めのスタートとした。


このコース、登りで使うのは今回が初めて。
杉林を抜けるまでが、コース一番の急登。
小屋泊まりだと、たいてい浮かれてついつい荷物が多くなるのだが、
今回は、足の内反小趾という不確定要素もあるので、なるべく
足に負担がかからないよう、荷物は極力絞ってビールは350缶2本だ。
おかげで、この急登もバテることなく、足も痛まず標高を稼ぐ。


9時54分、いっぷく平。休憩にはやや早いタイミングだが、
急登が緩む、気持ちのいいブナ林なので一服入れる。
天気予報では快晴であったが、神室山地は薄曇りでさほど日もささない。
おかげで体にはラクである。


ウラジロヨウラクがスタンバイ中。


杉林が終わると、見事なブナ林となり、ときおり傾斜も緩む。
ハルゼミと、遠くからはツツドリの長閑な声。


11時27分、第一ピーク。
懸念の内反小趾は、保護パットと前日、秋田市のイシイで
靴の幅を応急措置程度に広げてもらったこともあり、痛みはない。


ムラサキヤシオの奥に、第3ピーク手前の小ピークが見える。
パノラマコースはいくつかのアップダウンが
面倒っちゃ面倒なコース。


11時43分、第二ピーク。標高1095m。


第3ピークはあの小ピークの向う。
立ちふさがるピークの登りには「懺悔坂」という名前がある。


懺悔の手前は穏やかなブナの道。シーズン初めのこともあり
若干、笹が登山道に被っているが、このコース自体は全体に
道は明瞭だ。


見上げる懺悔坂。たっぷり懺悔させられそうだ。


それにしても美しいブナ林。


11時52分。さて、懺悔をはじめますか。


ミヤマカタバミが咲き始めている。


懺悔坂の終盤で、残雪に出る。
雪はほどよく腐り加減で、キックステップで難なく通れる。
もはや登山道を見失うほどには、雪はない。


マンサクが見頃だった。
雪渓の付近は、マンサク街道となっていて久々に春に逆戻り。


そしてカタクリも最盛期。


12時40分、だいぶ視界が開けてくる。
お腹も空いてきたので、登山道脇で昼食に。
立ち止まると、虫がどこからか湧き出てくる。
蚊ではないので、刺してはこないと思っていたら、
数カ所刺されてしまった。


カタクリとツバメオモト。このお二人がそろって見られるとは。


タムシバが咲き始め。


そして桜もちょうど見頃だった。


13時16分、第三ピーク。標高1288m。前神室まであと少し。


なんと、イワウチワがまだ最盛期だった。
このコースを歩く間に、早春のイワウチワから、初夏の
イワカガミまでが咲きそろうのには驚いた。


13時24分、前神室山到着。1342m。
ボスの神室山と標高はさほど変わらない。
三角点があるだけのことはあり、展望はパノラマコースの名を
証明するがの如く申し分ない。
薄曇りではあるが視界は良好で、月山、鳥海山、男鹿、太平山地、
森吉山、秋田駒、岩手山、和賀山塊、真昼山地、焼石、栗駒・・・・と
いつまで見ていても飽きない展望がぐるりと。


ようやく神室山の本峰も見えてきた。その肩には小屋が佇む。
奥に控えるのは、神室山地の最高峰の小又山だ。
どうも一般登山道から見る限り、神室山よりも脇役たちのほうが
主役っぽい。つくづく気の毒な本峰である。


シラネアオイはやや小振り。
先週の真昼岳で見たシラネアオイがあまりに大輪すぎた。


13時44分、水晶森分岐。


鳥海山。ぐるりと見渡す山並みの中でも
雪を頂くその姿は別格だ。


桜の奥に、神室山へ続く稜線。
前神室を過ぎれば、アップダウンは緩やかになる。


山肌は春紅葉まっさかりだった。
こんなに桜の多い山だとは知らなかった。


14時35分。国定公園のレリーフの先に、雷神社がある。
そして今回は、この岩の裏側に回り込む踏み跡を辿ってみる。


そこには役内集落の人々によって、古くから祀られる鏑山大明神の祠がある。
何度か神室に登っているが、
この鏑山大明神の祠を訪ねるのは今回が初めてだ。
祠は新しく、今もなお大事に祀られていることが分かる。
祠の前には、古いお金や最近の500円硬貨まで積まれていた。
そして、祠が向いている方角には、大鏑山と小鏑山が連なっている。
その、見たまんまの光景しかそこにはないのだが、
鏑の字を頂く三山に、またひとつ近づくことができた気がして、うれしい。


登山道に戻る。彼方に火打岳の特徴的な姿がある。
火打から神室まで縦走したいと常々考えているのだが
見ればくじけそうなほど、遠いわ。


これまで神室界隈を登るのは、だいたい夏から秋にかけてだったので
初夏のこの時期は初めてだった。
驚いたのは、カタクリの群落の多さだ。
山腹に見とれる程に、濃いピンクが敷き詰められている。
一輪だけ、カタクリの白花も見ることができた。


カタクリと神室の稜線。
神室の稜線は東側が谷に向けて、急峻な地形で
おそらく春には雪崩が起きて樹木は育ちそうにない。
おかげでカタクリやシラネアオイが、
のびのびと群落を広げることができているのだろう。
一方西側は東に比べるとなだらかで、山腹を潅木が覆い、
春には春紅葉、秋には見事な紅葉を楽しませてくれる。


小屋がだいぶ近い。そして山頂もあと一息だ。


15時、無事登頂。
矢留山岳会にこの春に入ったばかりのSさんと。


ひとしきり、展望を楽しんだら本日の宿へ。
晴天続きで、混むかと思っていたら、我々3人と単独の男性だけだった。


一息ついたところで、水汲みへ出かける。
神室山避難小屋の水場は、かなり下ったところにあると聞くので
いつも水はアテにしていなかったが、本日は荷物を減らしたかったのと
数日前の記録では水はふんだんに採れそうだったので
初めて利用することにした。
特に水場の目印もない。同宿の単独行の男性に聞くと
その踏み跡だと、場所を教えて貰うことができた。
小屋から台尾根コース方向へほんの数メートル行ったところで、
左に、沢へ下りる明瞭な踏み跡ができている。


水場は小屋のすぐ目の前にあるこの沢に、
向かって左側から合流する支流のことである。
煮炊き用であれば、すぐ手前の沢の水でも十分だが、
飲み水として美味しく飲むなら、もうひとつ先の沢がいいとのこと。
矢印のルートを下りていく。
先ほどの単独の男性が、途中まで降りてきて丁寧に教えてくれた。
助かった。


美味しい水は、小屋から10分ほど下ったところに。
水汲みついでに顔も洗ってさっぱりした。


水場から小屋を振り返る。
雪があってもなくても、歩き慣れない人にはお勧めしない水場のようだ。
小屋には水場までの雪渓用にアイゼンが備えられている。
本日はキックステップが効いたので、比較的安全だったと思うが、
雪の状態や、沢への雪の崩落など気をつけないと危ない。


水も確保できたので、鍋が出来るまでの間、さっそく乾杯。
くーっ、堪らない!


18時49分頃が日の入なので、ひとしきり食べて飲んだら
再び山頂へ向かう。
山頂一帯には、薄くガスが流れこんできていた。
夕焼けはこのガスで無理かなと思ったが、鳥海山と雲の隙間から
夕日がゆっくりと姿を現し、そして鳥海山の裾に沈んでいった。


日が沈み、あたりの輪郭がおぼろになる。
ハルゼミの声はさすがにないが、
ウグイスたちは日没後もしばらく鳴いていた。


日没後、夕焼けの名残を一人山頂で楽しむ。
ゆっくりと大きな雲が尾根を越えようとしては、
反対側からの気流のせいか、果たせずに空へと跳ね返される。
薄曇りの空に満月が現れた。
今は山頂付近にはガスが流れ込んできているが
きっと明日の朝にはこのガスは里に降り雲海となり、
山はすっきりと晴れあがるだろう。

夜、月明かりに外に出る。8時を過ぎたばかりだが
みんな疲れて寝てしまった。
満月が小又山とその稜線を、静かに青く照らし出していた。
金山か新庄だかの町の夜景が小屋から見える。
日常の灯りを、山頂の非日常から眺めるのはなかなか面白い。
いつまでも眺めていたい神室の景色に
ああ、ビールをもう一本残しておけば良かったなとちょっと思う。

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コメント
あの水、いただいたのを下山中に口にしたのですかま、この世の物とはいえないほどに、本当にうまかったです!
ありがとうございました。
ばりこさんは本当に好きなんだなあ、山がと実感させていただきながら、ブログの花の写真をまた見ると感量深いです!
  • S木
  • 2016/05/24 9:33 AM
S木さん、先日はお疲れ様!
あのロングコース、よくぞ歩き通せましたね。
天候にも恵まれていい神室デビューでしたね。
  • ばりこ
  • 2016/05/26 7:50 AM
初めまして、HITOIKIと申します。
神室山の水場の情報を確認できてよかったです。無断ですが、私のブログに記事を引用させていただきました。ありがとうございました。
HITOIKI様 お役に立てて何よりです。
夏場使えるかわからない水場ですが
貴重な場所ですね。
  • ばりこ
  • 2017/10/16 12:14 PM
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